小さなエネルギーで暮らす
小さなエネルギーで暮らすことは、暑さや寒さを我慢することではありません。地域の気候や建物の立地条件をよく考え、冷暖房の熱を逃がさないようにして、日照や通風を上手く使うことで、エネルギー消費を最小限にすることです。
日照と通風を大切に考える

住宅の「心地よさ」は数値だけでは表せません。夏の微風や冬の柔らかな日差しには、冷暖房設備では得られない「心地よさ」があります。自然が持つ「小さな力」も見逃さずに取り入れるようにします。
冬の陽光、太陽熱温水器、太陽光発電など、瀬戸内の豊かな太陽エネルギーを利用します。

湿度のコントロールが重要

湿度は、人が感じる心地よさに大きく影響を与えます。同じ室温であっても湿度が高いと不快に感じ、程よい湿度だと快適に感じます。
湿気の吸放出性が高い土と木を使う
「土」や「木」など湿気の吸放出性が大きい材料を使用し、その性能を生かすことで、室内の湿度変化は安定します。
下のグラフは水蒸気が多く発生する部屋と普通に暮らす部屋別に、吸放出性が高い内装材とそうでない内装材の違いによる室内の湿度変化を測定したデータです。吸放出性の高い建材では、水蒸気の多い少ない場合ともに湿度が安定していることがわかります。

断熱でエネルギー消費を抑える

温暖な気候の瀬戸内でも暑さ寒さを防ぐ対策は必要です。風や日照など、自然エネルギーやエアコンなど設備の能力を十分に発揮させるために外気に触れる屋根、外壁、床には断熱材を充填します。
伝統的な土壁の場合
◉湿気の吸放出性が大きい「土と木」を現す構法なので室内の湿度変化は安定します。
◉外気に触れる「外壁、屋根、床」を断熱して、室内の熱が逃げるのを防ぎ、外気から伝わる冬の寒さや夏の暑さを防ぎます。
◉熱を伝えやすいという土壁の弱点を補い、強みである蓄熱性をいかすことができます。

一般的な乾式工法の場合
◉内装に土や木を多く使うことで室内の湿度変化は安定します。
◉外気に触れる「外壁、屋根、床」は断熱して、室内の熱が逃げるのを防ぎ、暑さ寒さといった外気の影響を防ぎます。
◉壁内結露の影響が少ない断熱材を使用します。
